アスペルガー症候群については認知が増えてきていますが、主な困り事がコミュニケーションに関するものです。
私自身、広汎性発達障害と診断されていて、アスペルガー症候群の一員です。
そんな私は自分勝手や無神経だと思われてしまうことが多々ありました。
また他者とのコミュニケーションにおいて衝突して人間関係が億劫になってしまいました。
私が子どもの頃はまだそういった言葉は浸透していなかったので、社会人になって二次障害の鬱病になるまで全く自覚がなかったのです。
今からでも自分を理解し、社会と調和して生きていくために、より深くアスペルガー症候群について学ぶ必要があると感じました。
そこで今回は書籍『アスペルガー症候群のすべてがわかる本』佐々木正美著を読みましたので、学び得たことをご紹介したいと思います。
著者:佐々木正美さんについて
著名なお医者さんだったようです。
現在は既に亡くなっていますが、ブログが生きていたので掲載しておきます。
http://blog.livedoor.jp/budouno_ki/
共感したポイントは、私と同じく金融機関で働いていた経験があることです。
そこから医者を志したのは本当に凄いですね。
そして自閉症の専門家として、川崎医療福祉大学の特任教授として勤めつつ、現場での学びの場も作っていたそうです。
子どもの発達にそんな昔から本気で向き合っている方がいたことに驚きと嬉しさを感じました。
書籍『アスペルガー症候群のすべてがわかる本』について
著者の経歴から難しい本なのではないかと最初は不安に感じながら手に取りました。
ですが開いてみると多くのイラストが組み込まれ、非常に読みやすい構成になっていました。
コミュニケーションでの困り事や具体的な対応策が明確に詳しく記述されていて、パッと見ただけでも役に立ちそうだと強く感じるものです。
その根底には、「一人ひとりが違うこと」や「障害を治すのではなく受け止め長所を伸ばすこと」があると思いました。
とても人への理解と愛情が深い方なんだろうなと、会ってみたい、話してみたい気持ちになりました。
内容としては大きく5つの章に分かれています。
もし私が子どもの頃にこの本に出会っていれば、もしかしたら鬱病にならずに済んだかも知れません。
ということは、今の時代に生きるアスペルガー症候群のお子さんや、その親御さんのためにも、この記事は役に立つはずです。
購入を検討されている方は、是非この記事の内容を元に、役立つものかどうかをご判断いただけると幸いです。
アスペルガー症候群とは?

私の診断名である広汎性発達障害は、ADHDとASDを合わせた言葉で一般的に発達障害と呼ばれるものです。
その中でも、ASDが自閉症を意味します。
そしてASDの中でも言語発達や知能指数に遅れがない場合をアスペルガー症候群と呼びます。
アスペルガー症候群の3つの特徴
アスペルガー症候群は、簡単に言えば言葉が使える自閉症ということです。
ではその特徴は何なのでしょうか?
想像力が育ちにくい
想像力や応用力を働かせた、柔軟な対応ができない。
予定外のことが起きると、急に混乱する。
社会性が乏しい
対人関係をつくれない。
友達を避けたり、初対面の人に親しく話しかけるなど、社会的な距離感がつかめない。
会話がすれ違う
言葉は覚えるが、正しく使えない。
人の話を誤解したり、質問と違う答えをすることが多い。
私にもとても当てはまると思いました。
例えばおままごとのような空想する遊びは私には理解できません。
人形は喋ってないじゃん、とか思ってしまいます笑
また、人と関わるのを避けてしまうのが、仕事をする上では特に大きな困り事でした。
周りの人と相談して物事を進めていくのが本当に苦手で、とても苦労したのを覚えています。
会話については、ロジックが強く、言葉の意味がおかしいと感じたり、そのままの言葉の意味を受け取ったりと、かみ合わないことが多くありました。
それもあって人と接するのがより億劫になってしまうのかも知れません。
アスペルガー症候群は治るのか
私も診断されたばかりの頃は、同じようなことを思いました。
ですが実際には治るという考え方自体がお門違いだったのです。
アスペルガー症候群は病気ではなく障害です。
治療すればなくなるというものではなく、一生向き合っていく必要があるものなのです。
自分が他の人とは違うということを受け入れるのは、簡単なことではありませんでした。
どうして上手くいかないのか、なぜこんなに苦しいのか、悩むことも多かったです。
私は今でこそこんな自分を大切にしようと思えていますが、すぐに受け止めることができないのもわかります。
だからこそ理解を深めて真剣に向き合っていくことが重要なのだと強く思います。
子どもたちが困る具体的なシーン

アスペルガー症候群の子どもが抱えやすい問題として大きく3つのシーンがあります。
それは「コミュニケーション」「こだわり」「学習」です。
コミュニケーション
言いたいことを一方的に話してしまう
アスペルガー症候群の子どもは、話し相手に合わせることが苦手です。
人の話を聞かず、自分の話したいことを話し続けてしまうことがあります。
私もゲームや読書をしていると、周りが見えなくなることがよくありました。
相手が何を考えているかなんて一切気にしていなかったと思います。
今ではそれでは上手くいかないことを理解して、相手の話を聞いたり、話題を調整することはできますが、そういった思考を巡らせることは大きな負担になっています。
また興味関心が偏っていることも大きな困りごとになります。
私の場合、友達と遊ぶよりも勉強する方が好きでした。
なので学校の成績は良くて、子どもの頃は自信をある程度持って生きていたと思います。
それが社会人になると一変します。
勉強だけしていても上手くいかない、コミュニケーションをして人を納得させたり、感動させたりと難しい関りが求められるからです。
そしてプライベートで自分の楽しみを見つけ、気持ちをリフレッシュすることも重要だと最近気づきました。
私は遊んだり楽しいことをして自分を満たすことをあまり経験していなかったので、今になって楽しいことや満たされると感じることを探している最中です。
趣味のボードゲームや読書をするのが最近見つけた楽しみの一つとなっています。
人の気持ちを読み取れない
口に出しにくいことは、遠回しな表現や態度で表すものです。
ところが、アスペルガー症候群の子どもには、それが理解できません。
私の場合、これはあまり当てはまらないかも知れません。
人との関わりを避けてきた分、自分に危険が及ぶような関わり方はできるだけしないように意識していました。
発言するリスクや意図を読み取ることで、人と関わる上で発生する嫌なことを未然に防いでいたのだと思います。
それが自覚できるようになったのは最近になってのことですが。
慣用句や冗談を理解できない
これも私の場合は知識でカバーしていると思います。
言葉を聞いて最初に思い浮かぶのは、言葉そのままの意味です。
ですが会話の流れや相手の態度から推測して、言葉の意味を捉え直すようにしています。
例えば道端でカップルの男性が「世界一可愛いよ」と言ったとします。
私の場合、最初に考えるのは、本当に世の中で一番可愛い人は誰なのか、ということです。
そしてカップルの女性が世界一の美貌ではない可能性が高いことを推測して、恋人としての愛情表現なのかも知れないと考える訳です。
普通の人は恐らくこういった思考のプロセスを必要としないのでしょう。
こういったコミュニケーションの困り事についての解決策は以下のようなものが考えられます。
・話していい状況と悪い状況をはっきり区別する
・わかってほしいことは具体的な表現で伝える
・過剰な反応をしないで間違いだけを直していく
こだわり
触られることを極端に嫌がる
これは凄く私の困り事です。
子どもの頃は人と関わらないことで気にならなかったのですが、大人になってわかりました。
私はスキンシップが凄く苦手です。
触れられるとビクッとして気持ちがいっぱいいっぱいになってしまうのです。
パートナーから求められても、なかなか応えることができません。
それが申し訳なくて、上手くやっていけるのか不安になることもあります。
触れる前には予告する
解決策はもうこれしかないと思います。
それでもやっぱり触れられるのは嫌なのですが、いくらか気持ちはマシになります。
同じ道順、手順にこだわる
私は普段車を運転しますが、知らない道を行く時はとても不安になります。
なのでほとんどの場合、知っている所にしか行きません。
知らない所に行く必要がある時には、地図で徹底的に調べて全ての道順を頭に入れておくようにします。
でないと何度も立ち止まって進めなくなってしまうからです。
旅行に行く時には、旅のしおりを作ります。
何時の電車に乗って、もし乗り遅れたら次は何分後で、と確認しておかなければ不安になるからです。
そういったこともあって、私は旅行が苦手です。
知らない所に行くよりも慣れ親しんだ場所にずっといたいと考えています。
行動予定を紙に書いて事前に説明しておく
子どもの場合、新しいことに取り組むシーンも多いと思います。
そういった場合は説明を工夫するのが現実的だと考えます。
学習
記憶することは得意だが、想像するのが苦手
これは凄く顕著でした。
私は勉強だけが取り柄だったのですが、特に理系科目が得意でした。
決まったルールに基づいて考えれば必ず答えにたどり着けるからです。
公式や単語はすぐに覚えられました。
逆に苦手だったのが感想を書く問題や小論文などです。
別に意見とか感想とかないんだけど、と言うのが正直な考えでした笑
地元国立大学に余裕で合格できる学力がありながらも、高校時代に小論文模試で0点を取ったことで担任に呆れられました。
何も思い浮かばないんだから仕方ないです。
スポーツのルール、動作を応用できない
私は基本的にスポーツはしません。
身体を動かすのも、ルールを理解するのも難しいからです。
勉強のルールは正確に読み取ればわかる判断基準があります。
それに対してスポーツのルールは主観的な観測が必要であり判断が曖昧なことが多いです。
例えばサッカーで言えば、オフサイドというルールは審判が判断しますよね。
学校の体育でやる時にはそんな審判なんていないので各自の判断になってしまいます。
もうこれが訳がわからなくてスポーツは嫌いになりました。
今でも集団競技は絶対にしたくないと思っています。
複数のことを同時に行うと混乱する
私の場合で言うと、処理速度が比較的早いので、複数のことを別々のタスクに分解して何とかしていました。
普通の人は同時にやっているつもりでも、実際には順番に取り組んでいるはずです。
それを意図的に実行することで、困り感を減らすことができています。
これは私の特性上の解決策でしかないので、誰にでも当てはまる訳ではないと思います。
お手本を見せる
これが現実的な解決策です。
見せることで子どもでもプロセスを把握しやすく、一見同時にやっているように思えることでも理解して実行しやすいはずです。
まとめ
ここまでで1章の内容をかみ砕いて、私の経験を交えて解説していきました。
参考になったでしょうか。
こうして思い返せば、私は子どもの頃から多くの特性があったと理解できます。
そして今でもその特性で困っていることがあれば、この本に書いてある解決策が役に立つと感じました。
今回は長くなったので割愛しますが、以降の章でも様々な知見が学び取れます。
ご自身やお子さんがアスペルガー症候群かも知れない、診断されて具体的な解決策を知りたい、という方は是非読んでみてください。
きっと多くの気づきが得られ、生活が楽になることと思います。
皆さんの幸せを心から願います。
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