発達障害には十人十色な特性があります。
なので特性の理解も治療法も人それぞれ全く違います。
私は発達障害の診断を受けてから、仕事で合理的な配慮と言われる範囲の対処をしてもらいました。
ですが特性の根本的な困り事は十分に理解できていなかったように思います。
そのため今は退職し、働けない状態にまで陥ってしまっています。
二次障害の鬱病を発症してしまったからです。
精神科では主に投薬によって治療をしていましたが、一向に良くなる感覚が得られないまま2年。
私は根本にある発達障害に対応した治療が必要だと考えて転院することにしました。
そこで発達障害への理解を深め、適切な治療方針を考える必要性を感じていた所、Xのフォロワーさまより役立ちそうな書籍を紹介していただきました。
早速読んでみたので、概要と私の共感した部分を紹介したいと思います。
書籍紹介『発達障害NEW』瀬戸内ぴあさ著
私が紹介していただいたのは瀬戸内ぴあささんの著書『発達障害NEW』です。
初版が2024/11/1と最新の情報がまとめられています。
そして著者はのべ7000人の発達障害者を治療してきた専門家です。
知識と臨床経験から得られた知見を元に、発達障害の治療についてわかりやすく解説してくれています。
特に良かったのは、漫画を交えていて、言葉も親しみやすく書かれていることです。
サクサク読めて1時間ほどで読み終わりました。
内容も整理されていて順序だてて理解することができました。
発達障害に悩まれている方には是非読んでいただきたいおススメの1冊です。
発達障害の治療とは?
発達障害という言葉は日本ではだいぶ浸透してきたと思います。
聞いたことがないという人はほとんどなく、何かしらのイメージを持っている状態と言えます。
ですがそれによって考え方が偏って理解されていたり、悪いイメージばかりが先行してしまったりという現状がありそうです。
自ら情報を得られる今の時代に、適切な情報を取捨選択し、治療に役立てることは重要です。
では発達障害の治療とは一体何なのでしょうか?
特性で困らない生活を身につけるスキル
冒頭でもあったように、発達障害の特性は十人十色です。
私の場合は以下のような特性があると自覚しています。
- 人に興味がなく、一切関わろうとしない
- 正しく理解できていないことに不安が強い
- 納得できないことに取り組めない
- 過集中と虚脱の繰り返し
- 常に疲労感がありリフレッシュできない
こういった特性を理解し、適切な対処を身につけることで、生活に困らない状態を目指すのが発達障害の治療方針です。
私の場合は二次障害の鬱病に関してのみ投薬治療を受けていたので、根本的な解決につながらなかったのだと考えています。
発達障害の傾向があると自覚していても、なかなか精神科・心療内科の受診に踏み出せない方もいるかも知れません。
そういった方は自身の特性によってどのくらい困りが発生しているかを考えてみてください。
もし仕事や日常生活で明らかに困り感があり、解決策を探してみたいと思ったのであれば、まさに今が受診するタイミングだと言えるでしょう。
困ることなく生活できることを目指して治療を進めていくことで、もう少し楽に生きられるようになるかも知れません。
客観的な検査がない
発達障害の特性は十人十色、つまり人によって全く違うということです。
これが何を意味するかと言うと、客観的な検査だけで診断できるものではないと言うことです。
例えば血液検査だとか、レントゲンだとか、そういった検査で発達障害は診断できません。
基本的にはどんな特性があって、何に困っているかを対話の中で確認し、予想しながら治療を進めていきます。
なのでお医者さんも手探りなのです。
特に発達障害の人はコミュニケーションの特性があり、自身の特性や困り事について上手く説明できない場合も多いようです。
そこでお医者さんがしっかりと問診をして特性や困り事を聞き出す必要があるのです。
私が転院するきっかけになったのも、この問診があまりなされておらず私のことが理解されていないと感じたからです。
解釈が変化している
発達障害の診断は時代と共に解釈が変化しているのも大きな特徴です。
例えばASDは以前は統合失調症の一部だと考えられていたそうです。
またADHDは脳の外傷が原因だと考えられていました。
時代の進歩と共に発達障害が徐々に解明され、臨床的な感覚と合致していくように変化していきました。
まずは上記の考えが誤りであり、発達障害は脳機能の偏りによるものだと理解されました。
そしてASDとADHDは併発することもあると考えられるようになり、今ではほとんどが併発していると理解されています。
特性も人によって様々なので、治療方針も全く異なってくることが今の常識です。
ですがこれが最終的な正解かと言うとまだわかりません。
10年後には全く違う常識が理解されているかも知れないですし、新しい治療法が確立されるかも知れません。
こういった変化の真っただ中にあるのが発達障害の治療です。
だからこそ最新の情報と経験豊富な医師の判断が重要になるのです。
シン・ADHD5大特性
一般的なADHDの特性としては注意欠陥・多動性・衝動性の3つが挙げられます。
うっかりミスや空気が読めないことが困り事だと考えられているのです。
ですが著者は自身の経験や臨床的なヒアリングによって得られた知見から、発達障害の根本的な悩みは他にあると考えました。
そして一般的にはあまり知られていないこれらの困りごとをシン・ADHD5大特性と名付けて解説しています。
<シン・ADHD5大特性>
- 億劫感が強く疲れやすい先延ばし脳
- マルチタスクが苦手で優先順位がてんやわんや
- 頭の中の多動、頭の中の衝動性
- 覚醒苦手脳。起きていても寝ているような、寝ていても起きているような
- 自分でもつかめないムラ。物事が長続きしない。躁鬱!?
これらはきちんと治療すればある程度解決できることを前提に、詳しく見ていきましょう。
億劫感が強く疲れやすい先延ばし脳
生まれつき脳の報酬系と言う神経回路の働きが少し弱いため、疲れやすく物事に取り掛かるのが億劫で、ついつい先延ばしにしてしまうという特性です。
- とにかく「疲れやすい」慢性的な疲労
- 億劫感が強く、やる気スイッチが入りにくい感
- 先延ばし、後回しで時間が過ぎる
- 自分でも怠け者だと感じてしまい、自己肯定感が下がる
こういった特徴があるようです。
私にも非常に当てはまると思いました。
私は毎日ぐったりしていて、外出すると次の日は寝込んでしまうほど体力がありません。
とにかく疲れやすいのです。
これがなかなか理解してもらえず、そんなに忙しいのか、大したことしてないと思われてしまいます。
でも私自身はもう体力の限界でこれ以上動けない、となってしまうのです。
<対策>
- 「疲れやすい」という自分の特性を理解する
- 特性を理解した上でタスクを管理していく
- 生活リズムを整えて疲れを溜めない
投薬としてはコンサータやストラテラが意欲に効き、億劫感を軽減してくれるそうです。
マルチタスクが苦手で優先順位がてんやわんや
マルチタスクが苦手で、一気に色々なことが降りかかってきた時に、優先順位をつけてやるべきことからやっていくのが苦手です。
- マルチタスクが苦手
- やるべきことの優先順位をつけるのが苦手
- 計画的な行動や段取りが苦手
- 所要時間の予想など、時間の見積もりが苦手
こういった特徴があるようです。
私も共感する部分が多くあります。
私の場合、やることが沢山ある状態だと頭がいっぱいいっぱいになって思考停止してしまいます。
どれから取り組むべきかを考えているうちに時間が過ぎてしまうのです。
これが仕事の抜け漏れにつながって叱られたり、ミスをする原因になると感じました。
いっぱいいっぱいになると行動できないので、あらゆることが停止してしまい、仕事にならないのです。
<対策>
- マルチタスクの時こそ一服してあわてない
- タスクを書き出して、視覚化する
- 優先順位を周囲にも聞きながらひとつずつ
タスクを書き出すと言うのは私が忙しい時によくやる方法です。
全てを書き出すことで、全体像が見えて少し落ち着けるのです。
それでもいっぱいいっぱいになってなかなか動けないこともありますが、こうしてブログを続けられているのも、タスクを書き出して一つずつ進められているからだと思います。
投薬としては、コンサータとストラテラが作業遂行能力に効き、インチュニブが気が散って捗らない部分に効くそうです。
頭の中の多動、頭の中の衝動性
頭の中が常に忙しい。
調子が良い時には色々なアイデアや発想の源にもなる脳の多動。
しかし疲労やストレスをきっかけに不安をどんどん増幅させ、過去の嫌な記憶がフラッシュバックしてしまう。
- 頭の中が常に忙しくアレコレ考え事をしている
- 調子の良い時はアイデアや想像力が豊か
- 不調時には反芻思考で不安が頭から離れず増幅させてしまう
- 過去の出来事をフラッシュバックしやすい
こういった特徴があるようです。
私もアイデアが出てくる時と、全くダメな時があります。
普段はぐったりと寝ていることが多いのでアイデアを出す機会にも参加できないことが多いです。
ですが調子が良ければ他の人が驚くような発想を生み出せることがあります。
以前チームでプレゼンをする機会があった時には、チームで考えていた流れを完全に切り替えて全く新しいプレゼンを創り上げ、発表で1位を獲得できた経験があります。
こういった思考の癖を活用できれば大きな能力を発揮できるかも知れない一方で、落ちる時は徹底的に落ちてしまうので、ギャップが周りに迷惑にならないか不安な面もあります。
<対策>
- 「疲れやすい脳」であることを理解する
- しっかり休養を取り心身を休ませる
- 自分の思考が体調に影響されやすいこと、不安やフラッシュバックの正体が特性であることを理解する
投薬としては、インチュニブがフラッシュバックに効くとされています。
覚醒苦手脳。起きていても寝ているような、寝ていても起きているような
睡眠と覚醒のメリハリが苦手。
起きている時はぼんやり眠たく、寝ている時は眠りが浅い。
慢性的に不眠気味で夜はなかなか眠れず朝なかなか起きれない。
- いつもなかなか眠れず夜更かししがちで睡眠リズムを崩しやすい
- 考え事をしだすと頭が冴えて寝付けなくなり眠れない夜もある
- 起きていても常に眠たく寝ていても眠りが浅い
- 睡眠によるリフレッシュ・リセットができずに疲れを持ち越しやすい
こういった特徴があるようです。
私も凄くわかります。
正直私は常に眠たいです。
寝られるのであればずっと寝ていたいくらいです。
そして本を読んだり考え事をしていると夜中でもバッチリ起きていられます。
逆に時間を忘れて没頭してしまい朝になるということも多々あります。
だから休みの日でも疲れが抜けず、ずっとぐったりしています。
気持ちも切り替わらずにモヤモヤしたまま休暇を楽しめないことが多いです。
<対策>
規則正しい生活リズムが一番大切
脳が疲れやすいADHDにとって睡眠は生命線と理解する
睡眠にとって良い習慣を色々と実践する
投薬においてはコンサータ、ストラテラが日中の覚醒に効果があり、その結果夜の睡眠にも良い影響があります。
またインチュニブは思考の多動に効くので、睡眠の安定に効果が期待できるとのことです。
ちなみに私はゾルピデムという睡眠薬を使っています。
眠れないと思う前に強制的に眠らせるようにしています。
それでも自分から寝ようと意識しなければ眠れないので、23時には毎日布団に入れるように努力しています。
もし夜中に起きている投稿を見かけたらそろそろ寝なさいと言ってほしいです笑
自分でもつかめないムラ。物事が長続きしない。躁鬱!?
過集中と虚脱。
人一倍強い集中力を発揮して頑張る反面、加減ができず極度の疲労を蓄積する。
最初はエネルギッシュなのに長続きせずにムラっ気が生じ、周囲にはサボり癖があると誤解されることも。
- 周期的な気分の浮き沈みに困っている
- できる時とできない時のギャップが激しい
- セルフモニタリングが苦手で自分の疲れに鈍感
- 虚脱時には身体が鉛のように重くなりどん底の不安とうつ状態に
こういった特徴があるようです。
めちゃくちゃわかります!
動ける時は1日に何個もの予定を乗りこなしていくのに、何もできない日は寝たきりです。
そして疲れ切って動けなくなるまで疲れを感じないので、それを繰り返してしまいます。
最初だけになってしまうのもよくわかります。
やっていると必ず落ちる時が来るので、そこで色々なことが止まってしまいます。
<対策>
- 自分のキャパシティを超えないように、疲れを観察して感じ取る練習を重ねる
- 没頭や夢中が落とし穴、何事もやりすぎない
- ネガティブ思考も疲労からくる一時的なものだと理解し、心配しすぎない
投薬としてはコンサータ、ストラテラ、インチュニブ共に過集中を抑えてくれるそうです。
まとめ
今回は瀬戸内ぴあさ著『発達障害NEW』について解説しました。
私も共感することが非常に多く、これで困ってたんだと理解が深まりました。
そして投薬の効果が期待できるのであれば試してみたいと強く思いました。
私は今は働けない状態ですが、もし回復すれば働きたいです。
と言うか働かなければ生きていけません。
こうして生活していられるのもあと数カ月が限界です。
このタイミングで転院したことで、治療の可能性が広がることを期待しています。
もし発達障害でお困りの方がいれば、是非この書籍を読んでみてください。
解決策が見つかるかも知れません。
私も一緒に治療を実践していきます。
ここまで読んでくださりありがとうございました。
少しでも誰かの役に立ちますように。
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